アメリカVAPE業界の関心はフレーバーバンの先にある

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先日、FDAによってフレーバーバンが発表となりました。内容としてはカートリッジタイプの電子たばこ製品について、メンソールとタバコ味以外のフレーバーを禁ずるというものでした。発表から30日以内に流通から撤去するよう要請する内容で、従わない場合FDAの強制措置が取られる可能性を示しています。

日本の大手新聞などでは電子たばこのフレーバーが販売禁止になることのみが報道されており、一般の方々にとっては例によってネガティブなイメージしか持てないような内容となっています。それに対してアメリカではニュアンスがやや異なる受け止め方をしている方が多いようです。というのは、カートリッジタイプ電子たばこの最大手であるJUULは、もともと今回の発表がある前からメンソールとタバコ以外のフレーバーの販売を既に中止していたからです。今回の発表で直接的な影響を受けるのは、JUULの同業他社であるNJOYやレイノルズアメリカンなどであり、FDAはJUUL以外のメーカーにも足並みを揃えさせただけ、とも取れるのです。全商品がフレーバーバンの対象になるかもしれないと身構えていた業界からすれば、やや拍子抜けさえする内容でした。

さらに今回の発表で対象になったのはカートリッジタイプの電子たばこのみで、実は使い切りタイプの電子たばこは規制対象には含まれていません。手軽さという点ではカートリッジタイプより使い切りタイプの方が断然優れているようにも思えますが、今回FDAは社会問題化しているJUULに似た商品をまず対象とすることで、世間の非難をかわすことを優先させたと考えられます。再充填式のオープンタイプのVAPEについても言及はありませんでした。

アメリカのVAPE業界は、先のトランプ大統領が関係者を集めたミーティングでもPMTAの問題を提起していました。PMTAは現在の規制下では全ての電子たばこ、VAPEも申請を義務付けられておりますが、実現可能な内容にはなっておらず、業界はPMTAの修正を訴えていました。9月中旬のEVALI問題を経て、フレーバーバンを検討することが伝わり、実際に政府も検討した結果このような内容となったのですが、PMTAに関しては何も言及がありませんでした。

迫る米大統領選挙

PMTAの申請期限は2020年5月12日であり、あと120日程度しかありません。

アメリカのVAPE業界は引き続きPMTAをなんとかして欲しいとロビー活動を行なっているようですが、9月のEVALI騒動が起こる前の状況と現在とでは、PMTAに関しては何も変わっていません。むしろカートリッジタイプのフレーバーバンに時間だけ取られたような形となっています。

現行案を維持したいFDAや電子たばこに否定的な民主党に、PMTAを積極的に改正する動機はあまりなく、局面としては現政権と共和党がどのようにするのかにかかっている状況になっています。VAPERと無用な軋轢を生めば今年の大統領選に影響を及ぼす可能性もあります。社会問題化した9月からの流れで今回PMTAを含めて改正する可能性も期待されたのですが、小手先の対応で終わってしまいました。今後今まで以上に大きな機運が起こるとも考えづらい状況です。

スーパーチューズデーは2020年11月3日ですが、2月3日のアイオワ州党員集会を皮切りに4月28日のニューヨーク州予備選挙まで、州単位での戦いはもうすぐ始まります。5月12日以降に州の予備選はもうなく、あるのは7月の民主党大会、8月の共和党大会、9月10月のテレビ討論会といった大型イベントのみです。

既に報道されているように、WEVAPEWEVOTE運動は地域単位での草の根活動になっています。各州や都市がEVALIの対策として連邦政府の方針とは関係なく個別にVAPEの販売禁止を決定したために、VAPER達が各地で反対運動を繰り広げました。大統領選で大規模な反対運動を繰り広げる際の、各地での“事前演習”は既に済んでいるといった状況です。

このような状況を考えますと、このままPMTAの規制を変更せず5月12日に実質的なほぼ全商品の販売中止になってしまうような事態はさすがに避けるのではないかと感じます。当面5月12日の期限は再延期などさせて先送りにしておいて、いくつかあるマニフェストの中の一つとしてVAPEを加えて選挙に利用する可能性もあるかもしれません。トランプ大統領のことですから、民主党との対決で利用できるものは利用しようと考えても不思議ではありません。WEVAPEWEVOTE運動が当初とは違った形となって具現化する日がやって来るかもしれませんね。

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