傷ついたアメリカはハームリダクション(害軽減)手段としてのVAPEを勇気を持って残せるか?

特集

アメリカでは近くE-cigaretteやVAPE に関する規制がFDA(Food and Drug Administration アメリカ食品医薬品局)より発表される見込みです。

元々アメリカでは、完全に安全ではなくてもより安全な代替手段を提供することにより、生命にかかわる行動に関連する害を減らすためのエビデンスに基づくアプローチとしてのハームリダクション(害軽減)について、長い議論が交わされている歴史があります。

先行して規制を実施したイギリスでは、電子たばこのニコチン濃度や量に的を絞ることによって使用が広まっていた電子たばこを有効活用することができ、国の医療費削減に繋げたという例もあります。

ただアメリカではJUULなどの手軽なデバイスが未成年にまで大流行してしまったために、それらのE-cigaretteを全面禁止にして対応しようという意見が政府関係者から噴出しています。また一方でオープンタイプ型のタンクはVAPEとして残してもよいのではないかという意見も出ています。

ここで今一番懸念されているのが、もしE-cigaretteやVAPEを全面禁止にしてしまうと可燃性たばこの喫煙者率がまた増えてしまうのではないか、というものです。
可燃性たばこの害は広く一般に知られているところですが、電子たばこについては歴史も浅く、長期的な影響についてなどは完全には明らかになっていないのも事実です。

健康への悪影響が明らかな可燃性たばこを市場に残しつつ、有害性が低いとされる電子たばこ製品へのアクセスを制限しても、公衆衛生は保護されない結果となってしまう可能性があります。

WHOは健康リスクの観点から含有量の低減を優先して推奨する以下9つの物質を示しています。
・アセトアルデヒド
・アクロレイン
・ベンゾ[a]ピレン
・ベンゼン
・1,3-ブタジエン
・一酸化炭素
・ホルムアルデヒド
・4-(メチルニトロソアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン (NNK)
・N-ニトロソノルニコチン(NNN)

本物のタバコ葉を蒸気に通過させるJTのプルームテックでも、これらの有害物質ははるかに可燃性たばこより低いことが示されており、実際にウェブサイトで数値も公表されています。
https://www.jti.co.jp/tobacco/responsibilities/guidelines/constituents/ploomtech/index.html

E-cigaretteやVAPEについては、出力やコイルやコットン類などの材質などの組み合わせがそれぞれ異なるため、全く同様の結果にはなり得ませんが、可燃性たばこと低温加熱型とでは代表的な健康懸念物質の差が歴然としているのはほぼ明らかです。

また、高温加熱型については低温加熱型よりもこれらの健康懸念物質は一般的に多く含まれている傾向にあり、大手たばこ会社も率直にそれぞれの値を明らかにしています。

実はFDAはアメリカにおいて高温加熱型であるIQOSについて、PMTAを通じて既に販売を承認しています。今回問題視されているJUULなどのE-cigaretteはたばこ葉を使うタイプではありませんが、構造的にはプルームテックなどの低温加熱型とほとんど同じです。健康懸念はニコチン濃度を除けば高温加熱型よりは明らかに低いと考えられています。

今回のEVALIのようにビタミンEアセテートなどの蒸気での使用には不適切な物質が混入されたら当然大きな問題にはなりますが、E-cigaretteやVAPEそのものを規制すれば解決するというのは、これらの公表済みのデータやFDAがIQOSを承認している事実などと照らし合わせるとやはり乱暴に過ぎる感があります。

イギリスでは製品毎に簡易な登録制にすることで運用を可能としていますし、実際に大きな問題にはなっていません。アメリカでは現行規制のままだと運用が大掛かり過ぎるという問題点もあります。リキッドやコイル、コットン、出力などの条件を全て網羅して試験するのは、オープンタイプであるVAPEではまず不可能です。それらの細かい条件ではなく、ニコチンに的を絞ったイギリスのように簡潔な制度であれば、中小企業でも対応ができるのです。その結果としてフレーバーやデバイスなどの多様性が失われずに済み、VAPERの嗜好品を楽しむ権利を損なうこともありません。

証拠の確実性がない場合にポリシーを作成するには、たしかに勇気が要ります。可燃性たばこ、高温加熱型と低温加熱型、そしてE-cigaretteとVAPE。ニコチンを除いた代表的な健康懸念物質に的を絞れば害軽減の優劣は明らかになりつつあります。全ての影響を見定めるのは困難だとしても、明らかになりつつある事象に目を向けて、FDAがハームリダクション(害低減)のために勇気を持って現実的な対応に踏み出すことを期待したいところです。

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